777@niftyトップ > 吉本芸人コラム > 棚から休み(ラフレクラン 西村真二)
吉本芸人コラム
ラフレクラン 西村真二
ラフレクラン 西村真二
西村 真二(にしむら しんじ、1984年6月30日 - )は、日本のお笑い芸人。お笑いコンビ「ラフレクラン」のツッコミ担当。元広島ホームテレビ所属の男性アナウンサー。
ラフレクラン 西村真二

棚から休み

公開日 2013/10/02
ある日の昼下がり。



1本の電話で起こされた。

「今日の仕事ですが……」

夕方から予定されていた仕事が急遽無くなった。
貧乏な若手芸人のオフ。

「さぁて何をしよう……」

なんて考える間もなく、 寝ぼけ眼にボサボサ頭の僕は取り憑かれたようにパチンコ屋に向かった。

自動ドアが開く。
鳴り響く機会音。
笑顔とお辞儀で迎えられた。

まずはタバコに火をつけ精神統一。
ポケットから財布を取り出し軍資金を確認。
野口英世が6人こちらにエールを送っていた。
少し心細い気も……。

ホールを1周回って気になる台に目星をつけた。
5分ほど悩んだ。
結局ホラー系パチンコ、『クロユリ団地』を選んだ。
理由は「ピンときたから」だ。
僕はオカルトなど信じないタイプの人間だ。
いつもピンときたものを打つ。

問題はマックスタイプを打つにはあまりに無謀な軍資金。
しかし、そこは芸人。
一か八かの人生だ。
と自分に言い聞かせながら座った。

まず一人目を投入。
ハンドルに手を当てた。
なかなかへそにも入賞しない時間が続く。

やり場のないイライラをタバコに当てながら、 データ表示機や他の台に目をやる。
入賞しないときの僕のいつもの行動だ。

30玉ぐらい流れてようやく一つの銀玉が入賞する。
液晶のリールが回転し、無秩序に並べられる3桁の数字。

僕は熱い演出が起こらないときに決まってすることがある。
「楽しみ」とも言っていいだろう。
それは昔から歴史が好きなため、
数字を歴史の年号に置き換えるという作業だ。
例えば液晶に「6・4・5」が止まったとする。
それを「645年」に置き換える。
すると「645年大化の改新」
という様にして暇をつぶす。

言わずもがなこの機械では888年までの歴史しかない……。
「8・8・8」だったら
、 「遣唐使が菅原道真によってそろそろ廃止される頃だな……」
なんて具合に……。

その後も何事もなかったかのように銀玉は吸い込まれていく。
自分なりにへそへ入賞しやすいハンドルのポゼッションを見つけひたすらまわす。
2人目3人目と旅立ち、4人目を投入した直後だった。

一つの銀玉がステージに上がり、「ストン」
赤色の保留アイコンが姿を見せる。
前の二つの保留を消化し、52回転目。
液晶の文字をみて驚いた。

「ゼブラ柄まで 3、2、1」

僕の網膜を鮮やかなゼブラ柄が刺激した。 画面の左に「5」そして右に……「5」
待ちに待ったテンパイ。
だがしかしまだ安心など到底できない。
とその時!

「……ガシャン!!」

大音量とともにギミックが作動。
それも、3段目まで。
そして瞬く間に熱い演出とチャンスアップが怒濤の勢いで起こった。
ハンドルを強く握りしめ固唾を飲んで見守った。

そして……5が並んだ。

少ない軍資金、マックスタイプ。
その不安をすべて吹き飛ばしてくれた大当り。
今日はとことんミノルくんと遊ぶことを決めた。
そして僕のイスのすぐ下には銀玉がギッシリ詰まった箱が積み上げられていった。

僕がお店を出たのは夕暮れ時。
財布には福沢諭吉も仲間入りした。
人生初の一人焼き肉を経験。

「早く売れたいなぁ……」

そう思いながら帰路についた。

前のコラムへ 吉本芸人コラムTOPへ 次のコラムへ

Copyright(c) YOSHIMOTO KOGYO. All Rights Reserved.



このページの先頭へ戻る




777@niftyトップへ戻る